動画配信あれこれ

Stay Home が叫ばれるこのご時勢、ここぞとばかりに頑張っているのが Netflix などの動画配信サービスである。

実は、筆者もかなり前から Netflix を利用している。というのも、Amazon のサービスなどとは異なり、日本語字幕 (subtitles) をオフにしたり、英語字幕を表示したりできるからである。これは、言うまでもなく、語学学習者にとっては必須条件だ。

さらに、もうひとつの理由は、筆者の第二外国語であるスペイン語のドラマがわりと充実しているというのも大きなポイントだ。これも同じくAmazonなどの配信では(日本では)ほぼ無きに等しい。需要があまりないと言えばそれまでだが、スペイン語学習者にとってはスペイン語コンテンツのない配信サービスは意味がない。

そういうわけで、もっか Netflix を利用しているわけだが、筆者の好きなスタートレック・シリーズがすべてそろっているのもうれしい特長だ。「もうさんざん観ただろ?」と自分でも思うのだが、シリーズ間を何度も行ったり来たりで、いま観ているのは『 スタートレック:ディープ・スペース・ナイン 』(Star Trek: Deep Space Nine) である。毎日必ず「スタトレ」を1エピソード観てから他の英語の作品1本とスペイン語の作品1本の合計3本立てというのが夜中の学習レジメン (regimen) だ。

しかし、ここで1つだけ言わせてもらうと、Netflix オリジナル作品で作ったという『スタートレック:ディスカバリー 』(Star Trek: Discovery) というのがあるが、これはどうもいただけない。なんか違うのである。頑張ってその雰囲気を出そうと努力しているのはわかるが、どうも違う。というか、それぞれのキャラクターに持ち味や魅力もないし、ストーリーも単調で薄いという印象を受ける。申し訳ないのだが、あの作品は、個人的には「スタートレック」とは認めたくないと考えている。

ついでにここだけの話、J・J・エイブラムス氏の『スタートレック』作品も個人的には「あの」スタートレックだとは認めていない。まあ私が古いだけかもしれないが、ちょっと違う、否、全然違うのである。筆者の好きな俳優である ベネディクト・カンバーバッチ (Benedict Cumberbatch) を起用したことは評価したいが、そういう問題ではなく、あまり本来のスタートレックの世界を壊さないでほしいというのが本音である。

話がそれたが、スペイン語のドラマの話もしておくと、確かに作品数はわりと充実している。しかしだからといって、すべての作品の内容が充実しているとは言えない。まあまあおもしろいものもあるが、なかには、スペイン語の勉強だと思って我慢して観ているものもある。しかし「なんじゃこれは?」と思うようなものもあり(個人的な評価である)、そういうものは時間のムダなので断念して、すでに観た別の作品をもう一度観ることもある。

ちなみに、これまで観たスペイン語作品をいくつか挙げておくと、

●『アルタマール:公海の殺人』 (Alta Mar):当時の豪華客船の様子が興味深い。話はわりとおもしろいが次のシーズンがなかなか来ない。

●『モロッコ:愛と戦争の記憶』 (Tiempos de Guerra):モロッコ戦争での医療現場を舞台に、婚約者のいる身でありながらよろめきあう看護婦と医者(ちょっと待てよ…)。

●『ペーパーハウス』 (La Casa de Papel):気持ちはわかるがやっぱり銀行強盗はどうなのか?美化しすぎだろ?と思わなくもない。

●『フラワーハウス』 (La Casa de las Flores):LGBT 関連の人物も多く登場するブラックユーモア作品。パオリーナ (Paulina) のゆる~いしゃべり方がユーモラスな味を出している。

●『ケーブル・ガールズ』(Las Chicas del Cable) :スペイン内乱時代の新しい女性たちが「そこまでやるか」というような大活躍(まずあり得ないだろう)。

●『麻薬王の後継者』(Vivir sin Permiso) :スペインはガリシア地方で有力な麻薬王がアルツハイマーにかかったところから話が始まるが、「普通の人間はいないのか?」と思わせるほどの悪党ぞろい。

●『プエルタ7』(Puerta 7):アルゼンチンのドラマ。サッカークラブの腐敗と不正を暴こうとする女主人公の話。アルゼンチンのスペイン語の特徴が興味深い。

というわけで、また今夜も海外ドラマで夜は更けて…。

外国語の勉強ならやっぱりドラマ

社会人ともなると、机について勉強するというのはなかなかできない。

さあテキストを広げて、辞書を出して、ノートに意味を書いて… というのは学生さんの勉強のやり方である。仕事で疲れて帰宅した社会人では、よほどの堅固な意志の持ち主でなければ挫折する。

それでも、外国語を勉強したい(しなければならない)。では、どうするか。

そんなとき絶対におススメなのは、やはりドラマである。映画は1話で完結してしまうので続かない。外国語の習得は繰り返しと継続である。続編があるにしろ、数回で終わってしまうようなものでは意味がないのである。

もちろん、100話 (episode) もあるような長期ドラマを1日で観てしまう(100時間必要なので物理的には無理だが)というのではない。あくまでも、1日1話だけ観る。

といっても、漫然と観ているのではただの娯楽になってしまう。いかに、娯楽と語学をリンクさせるか、これがポイントである。そのためには、勉強したい外国語のある程度の知識は必要。昔勉強していた外国語をやり直すとか、現在やっている言語をレベルアップしたいというときに効果的である。

そして、できれば同じエピソードを2回観る。最初は「字幕なし」で理解することに集中する(もちろん、ここで言う「字幕なし」とは日本語の吹き替え版ではない)。そして、2回目は字幕で観る。字幕といっても「日本語」の字幕ではなく原語の字幕である。

1回目は「テスト」で2回目は「答え合わせ」をするわけである。原語の字幕を見ながらドラマ中で出てきた新しい単語や表現などは書き留めておいて、後で辞書で確認するのもいいだろう。こういったことを毎日続けることでそれなりのレベルアップを図ることができるはずだ。

また、原語の字幕が速すぎてついていけないという場合は、一時停止モードなどを活用するといい。ただし、巻き戻しや一時停止モードを使う場合、テレビ画面よりパソコン画面のほうが操作がしやすく、移動したい箇所に移動するのもスムーズである。

原語の字幕をじっくり読んでも意味が分からないという場合は、まだ原語のみで視聴できるレベルには到達していないということなので、まず、基本的な語彙や表現を身につけることから始めよう。

ネットで検索すると、そのドラマのスクリプト(セリフを書き起こしたもの)が見つかる場合があるので、それをダウンロードして、じっくり読むのもいいだろう。そのドラマに出てくる単語はもちろん、一般的な言い回し、決まり文句など、いろんな意味で勉強になる。

最後に、ドラマを観るメディアであるが、好きな作品であれば DVD を購入するのもいいし、動画配信サービスを利用するのもいい。 ただし、動画配信サービスには、日本語字幕版しか提供できないところもあるので、契約する前に注意が必要である。

たとえば、Amazon の Prime Video などでは「字幕なし」や「原語の字幕」はなく「日本語字幕」しかないが、Netflix などでは「字幕なし」、「原語の字幕」、「日本語の字幕」などいろんなオプションがそろっている。