サバイバー: 宿命の大統領 (Designated Survivor)

かつて『24(トウェンティ・フォー)』(Twenty Four) で一世を風靡したジャック・バウアー (Jack Bauer) が大統領に?—というのではなく、ジャックでおなじみのキーファー・サザーランド (Kiefer Sutherland) が演ずるトム・カークマン (Tom Kirkman) の話である。

Netflix でそれまで観ていた『ブラックリスト』(The Blacklist) に代わって観始めたドラマがこれであるが、簡単に出だしを紹介しておく。

ある日のこと、なんと、アメリカ合衆国議会議事堂 (the United States Capitol) が爆破され、現職 (incumbent) の大統領や副大統領を含むすべての要人が犠牲になる。いわばアメリカ政府がごっそり逝ってしまったことになり、とんでもない話である。

しかしそこはアメリカである。手のつけようのない妻に手をこまねいている総理や、文句はつけるが、実際に政権を握っても何もできない野党しかいない日本とはわけが違う。災害やテロなどで政府が職務執行不能になったときのための緊急対策として、大統領の指定生存者 (designated survivor) が準備されているのだ。そして、その指定後継者として急きょ大統領になったのがトム・カークマン というわけである。

さて、さっそく大統領になったトムが、ジャック・バウワーのように勇敢にテロに立ち向かい大活躍!—と言いたいところだが、どっこい、今回のキーファーは強くない。それどころか、「おい、冗談だろ?あんなヤツに大統領は務まらんだろ」と言われるほどの「さえない男」なのである。まさに青天の霹靂で大統領にされてしまったが、「どうすればいいんだ?オレには無理だ…」と自信もなく、メンバーたちがさかんに議論を戦わせている 緊急会議においても、最初は、大統領:「あの… すいません」、メンバーたち:無視(喧々諤々で聞こえない)といった感じでなんともふがいない。

さらに、裏では「国を守るためにクーデターを起こそう」といった陰謀めいた空気や「辞退したほうが身のためだぞ」といった脅しや嫌がらせなどもあり、おとなしく身を引くというのも確かに選択肢である。現実の世界なら、確かにそういう人物に務まるほど大統領という役職は甘くない。しかし、 それではドラマにならないわけで、なおかつ、俳優もキーファーでなくてもいいわけだ。ともあれ、今後どう落とし前をつけてくれるのか楽しみである。

ということで、これはドラマの正式トレイラー (official trailer) である。

動画配信あれこれ

Stay Home が叫ばれるこのご時勢、ここぞとばかりに頑張っているのが Netflix などの動画配信サービスである。

実は、筆者もかなり前から Netflix を利用している。というのも、Amazon のサービスなどとは異なり、日本語字幕 (subtitles) をオフにしたり、英語字幕を表示したりできるからである。これは、言うまでもなく、語学学習者にとっては必須条件だ。

さらに、もうひとつの理由は、筆者の第二外国語であるスペイン語のドラマがわりと充実しているというのも大きなポイントだ。これも同じくAmazonなどの配信では(日本では)ほぼ無きに等しい。需要があまりないと言えばそれまでだが、スペイン語学習者にとってはスペイン語コンテンツのない配信サービスは意味がない。

そういうわけで、もっか Netflix を利用しているわけだが、筆者の好きなスタートレック・シリーズがすべてそろっているのもうれしい特長だ。「もうさんざん観ただろ?」と自分でも思うのだが、シリーズ間を何度も行ったり来たりで、いま観ているのは『 スタートレック:ディープ・スペース・ナイン 』(Star Trek: Deep Space Nine) である。毎日必ず「スタトレ」を1エピソード観てから他の英語の作品1本とスペイン語の作品1本の合計3本立てというのが夜中の学習レジメン (regimen) だ。

しかし、ここで1つだけ言わせてもらうと、Netflix オリジナル作品で作ったという『スタートレック:ディスカバリー 』(Star Trek: Discovery) というのがあるが、これはどうもいただけない。なんか違うのである。頑張ってその雰囲気を出そうと努力しているのはわかるが、どうも違う。というか、それぞれのキャラクターに持ち味や魅力もないし、ストーリーも単調で薄いという印象を受ける。申し訳ないのだが、あの作品は、個人的には「スタートレック」とは認めたくないと考えている。

ついでにここだけの話、J・J・エイブラムス氏の『スタートレック』作品も個人的には「あの」スタートレックだとは認めていない。まあ私が古いだけかもしれないが、ちょっと違う、否、全然違うのである。筆者の好きな俳優である ベネディクト・カンバーバッチ (Benedict Cumberbatch) を起用したことは評価したいが、そういう問題ではなく、あまり本来のスタートレックの世界を壊さないでほしいというのが本音である。

話がそれたが、スペイン語のドラマの話もしておくと、確かに作品数はわりと充実している。しかしだからといって、すべての作品の内容が充実しているとは言えない。まあまあおもしろいものもあるが、なかには、スペイン語の勉強だと思って我慢して観ているものもある。しかし「なんじゃこれは?」と思うようなものもあり(個人的な評価である)、そういうものは時間のムダなので断念して、すでに観た別の作品をもう一度観ることもある。

ちなみに、これまで観たスペイン語作品をいくつか挙げておくと、

●『アルタマール:公海の殺人』 (Alta Mar):当時の豪華客船の様子が興味深い。話はわりとおもしろいが次のシーズンがなかなか来ない。

●『モロッコ:愛と戦争の記憶』 (Tiempos de Guerra):モロッコ戦争での医療現場を舞台に、婚約者のいる身でありながらよろめきあう看護婦と医者(ちょっと待てよ…)。

●『ペーパーハウス』 (La Casa de Papel):気持ちはわかるがやっぱり銀行強盗はどうなのか?美化しすぎだろ?と思わなくもない。

●『フラワーハウス』 (La Casa de las Flores):LGBT 関連の人物も多く登場するブラックユーモア作品。パオリーナ (Paulina) のゆる~いしゃべり方がユーモラスな味を出している。

●『ケーブル・ガールズ』(Las Chicas del Cable) :スペイン内乱時代の新しい女性たちが「そこまでやるか」というような大活躍(まずあり得ないだろう)。

●『麻薬王の後継者』(Vivir sin Permiso) :スペインはガリシア地方で有力な麻薬王がアルツハイマーにかかったところから話が始まるが、「普通の人間はいないのか?」と思わせるほどの悪党ぞろい。

●『プエルタ7』(Puerta 7):アルゼンチンのドラマ。サッカークラブの腐敗と不正を暴こうとする女主人公の話。アルゼンチンのスペイン語の特徴が興味深い。

というわけで、また今夜も海外ドラマで夜は更けて…。

海外ドラマでコロナを乗り切る!

もちろん、海外ドラマを観ていれば、どんどんコロナ (the COVID-19 pandemic) が終息していくというわけではない。しかし、全世界でStay Homeキャンペーンが展開されている今、元気にお外で遊ぶなどということはできない世の中なのである。

とはいえ、家の中だけでは健康にもよくない。1か月ほど前には、 公園などで元気に遊ぶ子供の姿も見られたが、 いまでは大型公園なども(それほど人も多くないのに)次々と閉鎖され、子供たちが道路脇 (roadside) で遊んでいたりする。感染 (infection) を食い止めるには自粛 (self-restraint) も必要だが、なんでもかんでも一律に「自粛→閉鎖」というのもいかがなものか?「右にならえ」をしておけば大丈夫だという日本のお役所ならではの発想かもしれない。

それはさておき、これだけ「自宅で過ごしましょう」ということになると、日本の家屋は狭いし、本格的なエクササイズなどもできないので、じっと座って読書やゲームをしたり、テレビなどを観るしかない。

確かに、やってられないような状況なのだが、すぐに終息するわけではないので、コロナ以前の恵まれた生活をいくら望んでみても不可能である。それを悔しがったり、(自分の観点からみて)自粛の度合いが足りないと思われる人たちに対して怒りをぶつけたり批判したりして負の労力を使うよりも、この状況からいかに自分にとってのプラスなことを生み出すかを考えたほうがいいだろう。

たとえウィルスが猛威をふるい、自粛が叫ばれても、自分の人生や生活をエンジョイすることをあきらめる必要はない。もちろん、だからといって、自粛を無視して勝手なことをやるというのではなく、 今の状況に合わせた緊急時ライフスタイルを確立し、それを最大限にエンジョイすることである。

そして、その1つの選択肢として、海外ドラマや映画を思いっきり観て英語表現をたくさん覚えるわけである。わざわざ説明するほどのことでもなく、今だからこそできる自宅で楽しみながら英語を身につけるチャンスだと言える。

もちろん、英語の勉強でなくてもいい。 何かテーマを決めてやり遂げることで、文句なしの良い年にはならなくても、困難を乗り越えて何かを成し遂げた充実した一年になるはずだ。

そして大事なのは、定期的に体を動かす工夫をすることだ。たとえば、ソファに座ってダンベル (dumbbell) を持ち上げたり、狭いスペースでもできる足踏み器具 (stepper) などを使ってもいいし、ラジオ体操をしてもいい。とにかく自粛メタボにならないよう注意したいものである。