スタートレック(宇宙大作戦) (Star Trek)

スタートレックを語るなら、やはり忘れてならないのはこれ、オリジナルシリーズ (Star Trek: The Original Series; ST、TOS または TOS) である。

日本では「宇宙大作戦」という邦題がついており、その昔、午後4時代の再放送でもやっていたらしいが、あいにく筆者の実家はど田舎だ。観られるチャンネル数も少なかったのか記憶にはない。そんなわけで、筆者がスタートレックと遭遇したのは、映画版の Star Trek: The Motion Picture が初めてで、大学時代の友人に連れられて観に行ったのがきっかけだった。

そのときは、隣の席に座っている友人が、「おお!カーク (Kirk)、老けたなあ」とか「マッコイ (McCoy)!スポック (Spock)、久しぶり!」などと感慨に浸っているのを見て、「ヘンなヤツ」などと冷ややかな視線を送ったものだ。また、ステーションに停泊していた新しいエンタープライズ号 (Enterprise) を見てメロメロな表情をするカークを見て「へへ…」などと笑う友人、こっちははっきり言って、何がおかしいのかさっぱりわからない。退屈だしそのうちに眠くなる始末。ところが、ストーリーが展開するにつれてだんだんとノッてきた。筋書きのおもしろさもあったが、なによりコンセプトの深さに惹かれた。これはいける!というわけで、すっかりスタートレックのファンになって映画館を出たのである。

それから数年後、とある会社の国際セクションにいた筆者はなんとか英語のリスニングを鍛えなければという課題を抱えていた。そんなとき、テレビの深夜放送で「宇宙大作戦」をやっているのを発見。もちろん、英語を鍛えるのが目的なので「吹き替え」などで観ていたのでは話にならない。あまり言うと年齢がばれるが、当時はやっと音声多重テレビが出始めたような時代でけっこう値段も高い。そこで、たまたま隣の席に座っていた先輩から音声アダプターなるものを譲ってもらい、テレビ本体の音声を消してアダプターの副音声で観ることにした。そのうち、アダプターからの音声をラジカセで録音し、カセットテープに落としてウォークマンで聞いたりもした。おかげで、すっかりはまってしまい、英語も上達。原書のペーパーバック (paperback books) もよく読んだ。まさに、スタートレックがなければ現在の自分の英語スキルもないと言ってもいいだろう。

なかでもお気に入りはバルカン人 (Vulcan) のスポック。正確には、バルカン人大使の父サーレック (Sarek) と地球人の母アマンダ (Amanda) との間に生まれたハーフだが、本人としてはバルカン人としてのアイデンティティのほうが強い。バルカン人とはロジック (logic) に生きる人種であり、当然スポックもそうである。彼らにとって「感情」というものは無用の長物以外の何物でもない。つまり、理屈が通っていればすべて OK なのである。しかし、その理屈(ロジック)たるや半端なものではすぐに論破されてしまう。水をも通さない完璧なロジックを追求しているのがバルカン人なのだ。

だが、果たして、論理性だけがすべてなのだろうか―。たしかに感情は低次元のものかもしれない。しかし、友情はどうなのか、愛はどうなのか。感情を理屈で説明することは不可能である。それは、言いかえれば、感情は理屈を超えているということではないか。この宇宙とは、理屈で解決できるものばかりではない。ひょっとすると、幻想というのも現実を超えた真の現実なのかもしれない。オリジナルシリーズでは、こういった宇宙観が背景に流れているのを感じる。地球人 (human) とバルカン人の両方の血を受け継ぎ、地球人に囲まれて生きるスポックの悩みもその辺にあるような気がする。

ともあれ、女性に弱いカーク船長、green-blooded, pointed-ear hobgoblin(血みどりとんがり耳野郎)などとスポックをからかう毒舌マッコイ、それを聞いて片方の眉を動かして反応するスポック。この三人組 (a troika) のやりとりは絶妙である。これが楽しめるようになるとあなたも「通」と言うわけだ。

それにしても、当時は日本ではまだマイナーなドラマ。「スタートレックおもしろいねん」などと言うと、「スタート・レック?何それ」(切るところが違う)とか、「スポックっていうバルカン星人が…」と言っても「バルタン星人?」(それはシュワッチだろ)などずいぶん寂しい思いもしたが、なかには、「子供の頃、定期券入れをパチッと開けて、”エンタープライズ号ごっこ”して遊んでました」という話の通じる人もいたが、ごく少数だった。

一方外国人(特に欧米人)となると話は違ってくる。「私もスポックは好きです」と答えるアメリカ人女性、仕事で知り合ったオランダ人も「スタートレックのファンです」と言うと、「あ、あの Beam me up, Scotty (「転送せよ」という意味でキャッチフレーズ化している)だね」とノリも良い。また、そこら辺にあるものを指で触れて「He’s dead, Jim (ジム、彼は死んでいる)」などと言うとウケたりする。かって同じマンションに住んでいたオーストラリア人ともスタートレックの話で盛り上がった。

そして、こんなイギリス人もいた。彼は、仕事の得意先である企業が日本の管理職対象のセミナーの講師として、はるばる現地から招いた戦略コンサルタントだった。その彼が、セミナーの前に筆者にこんな質問をしてきた。

「講演の最後にこういう一説を入れたいのだけどどうだろう?」

その一説とは、他でもないスタートレックの冒頭に流れるカーク船長のナレーションだった。彼いわく、息子がスタートレックにはまっていて、最初はくだらない(イギリス人はアンチ・アメリカの部分がある)と思っていたのが、観てみるとおもしろくて、今ではすっかりファンだ、というのである。残念ながら、日本人では知っている人は少ないので、「たぶん聞いている人はわからないでしょう」と言うしかなかったが、アメリカのポップカルチャー (pop culture) でありながら、まさに、世界の共通語(大げさか?)ともなっているその威力を感じた。

ちなみにこれがそのナレーションである。

https://www.youtube.com/watch?v=hdjL8WXjlGI

また、これは次世代スタートレック (STAR TREK NEXT GENERATION) のピカード (Jean-Luc Picard) 船長による同じナレーションである。聞き比べると微妙な違いがあっておもしろい。なかでも、where no man has gone before (オリジナル)に対して、where no one has gone before (次世代)の違いは、今ではすっかり常識だが、男女差別 (genderism) に対応した表現だと思われる。

https://www.youtube.com/watch?v=DOryEhRTP7A

スタートレック・ディープ・スペース・ナイン (Star Trek: Deep Space Nine)

さて、このディープ・スペース・ナイン (DS9と略す) とは宇宙ステーションの名前である。他のスタートレックシリーズとは異なり、この宇宙ステーションが舞台なのだ。このステーションは、ベイジョー (Bajor) という星にある。ベイジョー人 (Bajorans) が宿敵カダシア人 (Cardassian) の長年にわたる残虐な支配から独立を勝ち取ったといういきさつがあり、このたびベイジョー政府からの依頼で、惑星連邦 (The United Federation of Planets) と共同統括することになったのである。

ちなみに、このステーションの名前は「新スタ」でもちょくちょく登場。DS9 の登場人物がエンタープライズ号 (Enterprise) にやってきたこともある。しかも、エンタープライズ号から DS9 に転属になったのがマイルズ・オブライアン (Miles O’Brien) で、彼の妻は日本人で名前はケイコ。ケイコのおばあちゃんが住んでいたのは「カマモト(たぶん熊本がなまったものか?)」らしい。そして、ステーションの責任者となるのがベンジャミン・シスコ司令官 (Commander Benjamin Sisko) 、亡くなった妻との間に一人息子のジェイク (Jake) がいる。このシスコ司令官だが、実は、「新スタ」のピカード (Jean-Luc Picard) 艦長がロキュータス (Locutus) になって(正確には改造されて)ひと暴れしていたころ、勤務していた宇宙船が攻撃され、妻を失うという悲しい過去を持っている。そのせいもあって、ピカードとは折り合いが悪いのだが、最初のエピソードでは、その悲しい過去と向き合い、立ち直る様子を描いている。

ところで、このステーションの特徴のひとつは、近くにあるワームホール (wormhole) だ。最初のエピソードで発見されるのだが、このワームホールを通ると、なんと、7万光年先のガンマ・クアドラント (Gamma Quadrant) まであっという間に行けてしまうというのだからすごい。昔、とある「ユーフォー (UFO) 研究会」のおじさんに、夜中にユー・フォーに連れられて北斗七星まで行って来た人がいるという話を聞いたことがあるが、たぶん、それよりもすごいかもしれない。ともあれ、現代のような忙しい世の中になってきたのに、宇宙の果てまでとは言わないが、「大阪から東京までこのミニワームであっという間ですわ」というくらいの技術の発展は欲しいものだ。でなければ、厳しい世の中、キツイ思いをするのは現場の人間だけである。

話はそれたが、ワームホールのすぐそばにある宇宙ステーション、旅の中継地ともあって、これまで知られていなかったガンマ区域も含め、いろんなところからいろんな宇宙人がやってくる。まず、ベイジョー人は鼻にシワがあり、耳に信仰のシンボルであるピアスをしている。カダシアンは、顔にも畝のようなシワがありなんとなく爬虫類っぽい。その他、頭が象の鼻のように伸びた人種や鼻と口がつながったようなヤカラまでさまざまだ。DS9 のレギュラーメンバーでは地球人をはじめ、ベイジョー人のキラ・ナリース (Kira Nerys)、DS9 でブティックを経営するカダシア人のガラック (Garak)。また、同じく DS9 でバーを経営しているクァーク (Quark) はファレンギ人 (Ferengi) で、「新スタ」ではもっぱら「儲けしか頭にない卑しい人種」というネガティブなイメージが強かったが、DS9 では意外とカワイイ面も見せる。また、ジャジア・ダックス (Jadzia Dax) は体内にシンビオント (symbiont) と呼ばれる共生生物を住まわせているトリル人 (Trill) 。そして、さまざまな形に姿を変えられるチェンジリン (Changeling) であるオド (Odo) もいる。

さすがに、宇宙人と言っても、人間に形が似たヒューマノイド (Humanoid) が中心であるが、それでも地球人としての我々の常識を超えた生態系や文化がおもしろい。これまでの豪華な宇宙船を取り巻く壮大さには欠けるが、多様性という意味では他のシリーズを大きくしのいでいる点がこのシリーズの最大の魅力である。異文化交流などと言われて久しいが、地球人同士でチマチマやっているスケールでないことは確かだ。「こんなヤツとどうして付き合っていくのか?」―というのは人間関係における永遠のテーマであるが、「うちの上司もこの○○人に比べたらマシだ」といった前向きな態度を培うためのヒントになるかもしれない。
下記は、DS9 のイントロ。

https://www.youtube.com/watch?v=DsOE73pxpys

新スタートレック (STAR TREK NEXT GENERATION) (4)

ボーグ (Borg) もけっこう可愛いヤツ(?)

以前にも紹介したボーグが再び登場。ロキュータス (Locutus) という名前のボーグに改造された経験を持つピカード (Jean-Luc Picard) 艦長、「ボーグ」という言葉を聞くだけで、あのときの恐怖と屈辱がよみがえってくる。まさに、脳裏に深く刻み込まれたトラウマ (trauma) だ。そんなある日のこと、探検先のとある月 (moon) で、こともあろうに、乗組員の一行が見つけたのが…。

乗組員:「艦長、怪我をした (injured) ボーグです」
艦長:「なに?すぐにその場を離れて戻って来るんだ!」
医者:「でも、怪我をしてるのに放っておけないでしょ?」

てなことで、放っておいたらいいのにと思わないではないが、傷ついた一人のボーグを連れてエンタープライズ (Enterprise) に戻ってくる。集団から一人だけ切り離されている状態なので、現在のところ、害を加えるような心配もないというわけだ。親切に傷の手当をしてやった後で、医者が「きっと、お腹が空いているに違いないわ」などと言って食料を与えることになった。と言っても、もちろん、スープやパンではない。ハンバーガーやステーキでもない。エネルギーである。意識を取り戻したボーグは、コンセントのようになった片腕をソケットのようなところに差し込み「食事」をする。「あ~うめえ!ごっつぁんです!」なんてことももちろん言わない。

「我々はボーグだ (We are the Borg.)」
「お前たちを同化する (You will be assimilated.)」
「抵抗は無意味である (Resistance is futile.)」

と、いつもの口上である。この期におよんでもこれしか言えないのがなんともワンパターン。しかも、助けてもらったお礼が「同化」かと思ってしまうが、ボーグになってしまうと、「同化する」こと自体悪いことだとかといった発想はない。

ともあれ、せっかくの機会だから、これを利用してボーグについて調査してみようということになった。チーフエンジニアと医者がチームになって、いろんな検査を始めるのだが、そのうち、お互いに間になんとも言えない「情」のようなものが通うようになってくる。チーフエンジニアが「オレはジョーディ (Geordi)」、医者が「私はベヴァリー (Beverly)、あなたは?」と名前を聞くと、「我々はボーグだ」。「だから、”我々”じゃなくて、ここにいる個体は何ていうんだ?」と言うと、ようやく、「5の3番目だ」という答え。しかし、そんな名前じゃ味も素っ気もない。

ジョーディ:「よし、これからお前のことをヒュー (Hugh) と呼ぼう。オレはジョーディ、お前はヒュー」
ボーグ:「我々はヒューだ」
ジョーディ:「いや、だから、”我々”じゃなくて、”オレ”はヒューだろ?」
ボーグ:「我々… オレ?○×△*#$???」
そうである。集団としてしか機能しないボーグにとって、「我々」 (We) という概念はあっても「私」 (I) という概念はないのだ。
ヒュー:「なんでこんなにいろいろ検査をするの?」
ジョーディ:「他の種 (species) について知りたいからさ」
ヒュー:「だったら、やっぱり同化がいちばんだ。そうすれば、いろんな種のことがすべて一瞬にして理解できるよ」
ジョーディ:「だからさ、オレは同化されたくないんだってば。同化されるくらいなら死んだほうがマシだよ」
ヒュー:「○×△*#$???」

なんてことで、ひたすら「しかと」を決め込んでいたピカード艦長も、ある状況から、このボーグを実際に自分の目で見て判断しなければならない事態に追い込まれる。清水の舞台から飛び降りる覚悟で面会する決心をした。ピカードの待機する場所にボーグ(ヒュー)が現れる。

ヒュー:「あ、ロキュータス!何してるの?こんなとこで」(こんなに軽いノリではないが)
あの忌まわしい名前で呼ばれたピカード、ここは、ひとつテストしてやろうということなのか、
ピカード:「この宇宙船を同化するためだ。お前も手伝うのだ。」
ヒュー:「でも、ジョーディは同化されたくないって言うんだ」
ピカード:「何を言っている、抵抗は無意味だ」
ヒュー:「いや、抵抗は無意味じゃないみたい」
ピカード:「お前はボーグだ」
ヒュー:「いや、違う。”ボク”はヒューだもん」

なんということだ?複数形の「我々」ではなく、単数形一人称を使っているではないか。集団を離れ、ついに「自己」認識の芽生えをみたボーグ。驚くピカード。とくにジョーディとの間には友情のような感情も育ちつつあった。

しかし、彼はやはり、ボーグ。どう逃げても隠れても集団ボーグが迎えにやってくるに違いない。結局、彼は、エンタープライズ号に被害が及ぶことを恐れ、自ら集団ボーグに戻ることを決意した。エンタープライズの乗組員たちに発見された月で迎えを待つヒュー。

仲間が迎えにやってきた。迎えに来た仲間によって瞬時に集団体に再編され、個としての記憶を抹消された彼は、以前の機械的で無機質なボーグに戻り、巣へと戻っていくのであった。
まるで、何ごともなかったかのように。そして、陰で見守る友人ジョーディには目もくれず…。

というわけで、なんだか「かぐや姫」のようなボーグの話であったが、下記はこのエピソードの関連画像である。

https://duckduckgo.com/?q=star+trek+borg+hugh+&atb=v95-1&iax=images&ia=images

新スタートレック (STAR TREK NEXT GENERATION) (3)

ついに、あの恐るべきボーグ (Borg) が登場した。

「我々はボーグだ (We are the Borg.)」
「お前たちを同化する (You will be assimilated.)」
「抵抗は無意味である (Resistance is futile.)」

といった口上を述べていきなり現れ、そこにいる人々を連れ去り、強引に改造してしまう。スタートレック・ヴォイジャー (STAR TREK VOYAGER) の舞台となっているデルタ・クアドラント (Delta Quadrant) という区域で発生した彼らは、それまではもっぱらデルタ区域を縄張りとしていたが、ぼちぼち他の区域まで範囲を広げ、改造すべき新しい生命体を求めて宇宙全体をうろうろし始めたようだ。

そもそも、ボーグとは、蜂の巣のような巨大なコントロールセンターを中心に、いろんな人種 (humanoid species) を同化 (assimulate) したボーグ・ドローン (Borg drone:drone は本来ミツバチの雄) 集団を制御し、さらなる同化をめざす集合体 (collective) である。そして、コントロールの中核にはボーグ女王 (Borg queen) がいる。また、ボーグが同化するのは、人種だけでなく、宇宙船の技術などもすべて取り込んでしまう。しかも、武器で攻撃をしかけても1、2度の攻撃でその武器に対しても抵抗力を持つという恐るべき「適応性」 (adaptability) を備えている。

とにかく、このボーグに見つかったら逃げるすべはない。おとなしくボーグ・ドローンに改造されるしかなさそうである。ちなみに、ショッカーの改造人間である仮面ライダーは、変身していないときは普通の人間の姿だが、ボーグに改造(同化)されてしまうと、機械のような部品を埋め込まれ、趣味の悪いぶさまな格好になってしまう。

それだけではない。

これまで人間として生きてきた自分自身の記憶や意識も消され、ひとつの集団マインド (collective mind) のなかにガッチリと組み込まれ制御される。お互いのボーグ同士もすべてセンターを通じて接続された状態になり、技術や情報がすべて共有される。

身近な例でたとえると、こんな感じである。

ある日、あなたは道を歩いている。
そこへいきなり、何者かが現れ、
「我々はボーグ株式会社だ。お前を社員にする」(ま、ちょっとうれしいかも…)
「そんな、いきなり、だって私は○×商事の社員です!」
「言い訳は無関係だ(irrelevant)」
「悪いけど断るよ」
「抵抗は無意味だ、お前を同化する…」
「あ~れ~っ!!!」
「悲鳴は無関係だ」

なんてことで、数時間後、あなたは、巨大なボーグ生産ラインに組み込まれ、片目に埋め込まれたセンサを使って部品を検知したり、ドライバになった右手を使ってネジを締めたり緩めたり… ラインの向こう側には、パソコンと一体化した仲間もいて、マウスになった右手を動かしたり、右クリックのかわりに右目ウィンク… なんてことで昼夜休みなく働き続ける。もちろん、給料もボーナスも要らない。もうあなたには個人としての意識もない。そう、あなたはもうボーグ。そして、今日も、同化される生命体が次々とラインを流れてくる…。

ひょっとして、ボーグという創造物は、会社という組織に歯車として組み込まれ、個人としてではなく、全体のチームとして機能する日本企業が発想のヒントになったのだろうか―などということを考えたこともある(実際のところは知らないが)。

ということで、恐るべきボーグの世界をのぞいてみよう。

https://duckduckgo.com/?q=we+are+the+borg&atb=v95-1&ia=images&iai=AyenRCJ_4Ww&iax=images

新スタートレック (STAR TREK NEXT GENERATION) (2)

ところで、「新スタートレック」を観ていて思わず笑ってしまう部分があった(とは言え、もちろんコメディーではない)。

何年も疎遠 (stranged) になっていたウィリアム・ライカ (William Riker) の父、カイル・ライカ (Kyle Riker) が突然エンタープライズ (Enterprise) にやってくるが、二人の間には長年の確執があり、その溝はなかなか埋めようもない。というところからエピソードは始まるが、この父子がある格闘技 (martial art) を通じて再び心通わせるという展開である。その「格闘技」がなかなかおもしろい。

この格闘技の名前は anbo-jyutsu というもので、どうもそのルーツは日本らしい。「アンボー・ジュツ」とそのまま発音し、「ジュツ」は「術」だろうという推測がつくが、「アンボー」とは「安保」かはたまた「安棒」(??)なのか、いろいろ頭を悩ませてみたが、たぶん、製作者もそこまで考えていないだろうということで漢字を当てるのは断念した。

で、どういう内容のものかというと、円形のリング上で鎧 (armor) や兜 (helmet) (と言っても西洋風)をつけて闘うのだが、ヘルメットのバイザー (visor) で相手は見えないようになっている。武器 (weapon) は先端に近接センサ (proximity sensor) がついているこん棒 (staff) のようなものを使う。この近接センサが相手の動きを感知 (detect) するわけだ。そして、英語なまりでよく聞き取れないが「よろーしーくおねがーまーうす」(よろしくお願いします)と声を発してからおもむろに闘技を始め、途中で「まーてっ」(「待て」)などという発声もある。

ん?なんだ、なんだ?日本にはこんな格闘技はないぞ(まあ、未来のことはまだわからないが)… などいろんなことを考えながら観ていると、競技者のヘルメットに「空」なんて漢字が手書きのような文字で書かれている。まさに「はん?」という感じである。しかも、よく見るとリング台の中央にこれまた漢字で「星」。まあ、スター(星)トレックやからなあ~ と思ってみると、なに?「地」や「水」、そして「火」もある… なるほど、これは宇宙をつかさどる5つのエレメント「地水風火空」 (ground, water, wind, fire, sky) で『五輪書』(The Book of Five Rings) の引用かと感心していると、いきなり、カタカナで「ユリ」(百合?)。その他にも、一瞬なのでよく見えなかったが「…タル」「…せいやつ…」などといった意味不明の文字が書かれている。

一体この世界は何なんだ!と、そちらのほうに気を取られてしまって話の展開を追うのもそこそこに、終わると同時に即スタートレック関連のウェブサイトで確認してみると、周囲に書かれていた意味不明の文字は、「ラム」、「アタル」、「うるせいやつら」ということで、ご存知日本アニメの「うる星やつら」からの引用なのである。

また、スタートレックの世界では、ちゃんとSS Urusei Yatsura「SSウルセイヤツラ号」という宇宙船もあり、22世紀のDY-430クラスの宇宙船で船長は David Glink。ちなみにこの「アンボー・ジュツ」、ライカの父カイルに言わせれば、「人類の究極の武術」なのだとか。

ということで、これが「アンボー・ジュツ」の世界である。

https://duckduckgo.com/?q=anbo-jyutsu&atb=v95-1&iax=images&ia=images

新スタートレック (STAR TREK NEXT GENERATION)

その昔、真夜中の再放送を録画して観ていたのがこの新スタートレック (STAR TREK NEXT GENERATION) である。今では、録画しそこなって観られないといった悲劇もなく、いつでも動画配信で観られるのがうれしい。

久しぶりに見るキャプテン、ジャン・ルーク・ピカード (Jean-Luc Picard) もまだ若い。心なしか、あのハゲ頭(ハゲているから”ピカード”といったダジャレはもちろん英語では通じない)に残っている頭髪も多いような気がする。そして、アンドロイドのデイタ (Data)、二枚目役の一等航海士 (First Officer) のウィリアム・ライカ (William Riker)、そして、彼となんとなく良いムードのディアナ・トロイ (Deanna Troi) はベータゾイド (Betazoid) 人と地球人のハーフで、相手の感情を読む能力を持っている。また、クリンゴン (Klingon) 人のウォーフ (Worf)、医者のビバリー・クラッシャー (Beverly Crusher) など、おなじみのメンバーだ。

新スタートレックは、オリジナルのスタートレックと同じエンタープライズ (Enterprise) 号という宇宙船の話だが、オリジナルシリーズからは80年後という設定らしい。ちなみに、スタートレック・ヴォイジャーとは同年代で、映画版の新スタートレックでも、ピカードが提督 (Admiral) になった元ヴォイジャーの艦長キャスリン・ジェインウェイ (Kathryn Janeway) と言葉を交わすシーンもある。

また、宇宙暦 (Stardate) で言えば、41XXX.X から始まる。宇宙暦についてはシリーズ全体で統一のルールはないが、このシリーズでは、最初の「4」は「24世紀」の「4」を表し、次の「1」はドラマの「シーズン1」という意味で、XXXは日付、そして、小数点以下のXは時間で、一日を10で割った単位を表すらしい。

ところで、この新スタートレックでもうひとつ、懐かしい顔に会った。「このじいさん、誰?」と思ってみていたが、そのしゃべり方、面影が誰かにそっくり。よく見ると、オリジナルシリーズで登場していたドクター・マッコイ (Dr. McCoy) であった。新しいエンタープライズ号を見学に来たようで、いまや提督になっているマッコイはもう137歳とか。

艦内を案内するのはアンドロイドのデイタ、「お前、ヴァルカン (Vulcan) みたいなしゃべり方するのう」などと言いながら、そう言えば、ヴァルカン 人のミスター・スポック (Spock) とはよく毒舌の飛ばしあいをしていたなあ… なんてことで、こういったチョイ出演のことを英語では「カメオ出演」(cameo appearance、または cameo だけでも可)と言うらしい。

下記は、ドラマを紹介するトレイラービデオ。

https://www.youtube.com/watch?v=jtmsI07AMsE

スタートレック・ヴォイジャー (STAR TREK VOYAGER)

このスタートレック・ヴォイジャーは、カーク船長 (Kirk) やミスター・スポック (Spock) でお馴染みの初代スタートレックの後継編のひとつであるが、なんといってもこのシリーズの特徴は、その名前 VOYAGER 「航海者」が示すように、はるか宇宙を旅するというストーリー設定。「はるか宇宙」というのは、宇宙の中でもさらに遠いというわけであるが、このシリーズの舞台となっているのが、デルタ・クアドラント (Delta Quadrant) という区域である。

デルタ・クアドラントとは、スタートレックにおける宇宙マップによると、宇宙を球として4分割した区域のうちのひとつ。ちなみに、これら4分割した区域をそれぞれ、アルファ (Alpha)、ベータ (Beta)、ガンマ (Gamma)、デルタ (Delta) という名前で呼んでいる(https://en.wikipedia.org/wiki/Galactic_quadrant)。

オリジナルシリーズから、新スタートレック (Star Trek NEXT GENERATION) など、通常、スタートレックの舞台となっているのは、もっぱらアルファ・クアドラント (Alpha Quadrant)(一部 Beta Quadrant) 。つまり、このアルファ・クアドラントがホームランドというわけである。

ある日、キャスリン・ジェインウェイ (Kathryn Janeway) 艦長率いる宇宙船ヴォイジャーは事故に遭遇し、活動範囲であるアルファ・クアドラントから最も遠いデルタ・クアドラント(地球から75000光年)に飛ばされ、帰れなくなってしまう。これまで接したことのない未知の世界を冒険しながら、75年もかかるという地球までの旅を続けていくというのである。また、他のスタートレックの世界とは違って、登場する人種や生命体も異なるという点と、艦長が女性であるというのもユニークである。

果たして、ヴォイジャー号は地球に帰ることができるのか?

結末は知っているが何度観てもいいものだ。

以前は再放送で観ていたが、結局全シリーズDVDを購入した。古いものなので価格もそれほど高くないし、やはり気に入ったドラマはそばに置いていつでも楽しめるようにしておくのがいい。

下記はドラマを紹介するトレイラービデオ。

https://www.youtube.com/watch?v=b1PX9E2RsgU