ところで、「新スタートレック」を観ていて思わず笑ってしまう部分があった(とは言え、もちろんコメディーではない)。
何年も疎遠 (stranged) になっていたウィリアム・ライカ (William Riker) の父、カイル・ライカ (Kyle Riker) が突然エンタープライズ (Enterprise) にやってくるが、二人の間には長年の確執があり、その溝はなかなか埋めようもない。というところからエピソードは始まるが、この父子がある格闘技 (martial art) を通じて再び心通わせるという展開である。その「格闘技」がなかなかおもしろい。
この格闘技の名前は anbo-jyutsu というもので、どうもそのルーツは日本らしい。「アンボー・ジュツ」とそのまま発音し、「ジュツ」は「術」だろうという推測がつくが、「アンボー」とは「安保」かはたまた「安棒」(??)なのか、いろいろ頭を悩ませてみたが、たぶん、製作者もそこまで考えていないだろうということで漢字を当てるのは断念した。
で、どういう内容のものかというと、円形のリング上で鎧 (armor) や兜 (helmet) (と言っても西洋風)をつけて闘うのだが、ヘルメットのバイザー (visor) で相手は見えないようになっている。武器 (weapon) は先端に近接センサ (proximity sensor) がついているこん棒 (staff) のようなものを使う。この近接センサが相手の動きを感知 (detect) するわけだ。そして、英語なまりでよく聞き取れないが「よろーしーくおねがーまーうす」(よろしくお願いします)と声を発してからおもむろに闘技を始め、途中で「まーてっ」(「待て」)などという発声もある。
ん?なんだ、なんだ?日本にはこんな格闘技はないぞ(まあ、未来のことはまだわからないが)… などいろんなことを考えながら観ていると、競技者のヘルメットに「空」なんて漢字が手書きのような文字で書かれている。まさに「はん?」という感じである。しかも、よく見るとリング台の中央にこれまた漢字で「星」。まあ、スター(星)トレックやからなあ~ と思ってみると、なに?「地」や「水」、そして「火」もある… なるほど、これは宇宙をつかさどる5つのエレメント「地水風火空」 (ground, water, wind, fire, sky) で『五輪書』(The Book of Five Rings) の引用かと感心していると、いきなり、カタカナで「ユリ」(百合?)。その他にも、一瞬なのでよく見えなかったが「…タル」「…せいやつ…」などといった意味不明の文字が書かれている。
一体この世界は何なんだ!と、そちらのほうに気を取られてしまって話の展開を追うのもそこそこに、終わると同時に即スタートレック関連のウェブサイトで確認してみると、周囲に書かれていた意味不明の文字は、「ラム」、「アタル」、「うるせいやつら」ということで、ご存知日本アニメの「うる星やつら」からの引用なのである。
また、スタートレックの世界では、ちゃんとSS Urusei Yatsura「SSウルセイヤツラ号」という宇宙船もあり、22世紀のDY-430クラスの宇宙船で船長は David Glink。ちなみにこの「アンボー・ジュツ」、ライカの父カイルに言わせれば、「人類の究極の武術」なのだとか。
ということで、これが「アンボー・ジュツ」の世界である。
https://duckduckgo.com/?q=anbo-jyutsu&atb=v95-1&iax=images&ia=images