ジュリー・レスコーという女性刑事が主人公のフランスのドラマである。
筆者はフランス語はあいさつ程度しかわからないので、もっぱら日本語の字幕を頼りに見ているが、それでも、ときどき短いフレーズが聞き取れたりするとうれしい。バックに流れる音楽も含めて、フランスの雰囲気が楽しめるのが気に入っている。
フランスには仕事の関係で過去に二度訪れたことがある。いろんなところを見て回ったというわけではないが、オフの日などに一人で電車や地下鉄に乗ってみたり、カタコトのフランス語で道を尋ねながら歩いた町並みなどが妙になつかしく思い出される。うまく言えないが、濃厚なフランスの臭いがするようなドラマなのだ。
ジュリー・レスコー (Julie Lescaut) は、女性でありながら 警部 (commissaire) として危険な仕事をこなすかたわら、離婚した夫のポール (Paul) との間にできた二人の娘、サラ (Sarah) とバブー (Babou: Elizabeth の愛称) を育てる母親でもある。女性としての優しさと、強い正義感を兼ね備え、母親として懸命に娘たちと向き合おうとする真摯な姿が印象的で、仕事と家庭を両立させようとする女性という視点からも楽しめる。また、フランスの現代事情を反映した社会的なドラマとしても評価が高いようだ。
また、このドラマのすごいところは、なんと言っても、人生(大げさだが)リアルタイムのような「長さ」である。つまり、稀にみる「長寿シリーズ」なのである。1992年にシーズン1がスタートしてから、2007年のシーズン16まで続いているのだが、その間、主人公のジュリー・レスコーはもちろん、二人の娘たちも幼い子役の頃から、思春期、成人するまで、一貫して同じ女優が演じているのがすごい。初期のシリーズから通して観ることで、「ああ、あの人がいまはこれ」といった外見的な変化を楽しむこともできる。
昔は、ほっそりとした若くて美しい女性だったジュリーも、年齢を重ねるごとに心身ともにたくましい魅力的な「おばさん」に変化(成長と言うべきか)。かっては、若気のいたりでふとしたアバンチュールを楽しんだのはいいが、その相手が「え?犯人?」のような間違いもあったり、「あ、いいのかな、部下の○○くんとそんな…」など、ハラハラするシーンもあったりで、やはり、「若い」というのは「迷う」ことなのかと思ったりもする。
下記URLはドラマを紹介するトレイラービデオ。