タイトルはスペイン語で、ドラマもスペイン語なのだが、意味は、「わたしはベティ、不細工です」といったところ。ちなみに、ちょっとスペイン語解説をしておくと、Yo (=I) / soy (am) / la (=the) / fea (ugly の女性形)というわけである。また、ベティ (Betty) は英語のようにエリザベス (Elizabeth) の愛称ではなく、その正式名はベアトリス (Beatriz)。
今は使う機会もなく、すっかりさび付いてしまったが、いちおう筆者の大学での専攻はスペイン語である。ある日、ケーブルテレビのチャンネルをあちこち切り替えていたら、「お、スペイン語のドラマやってるぞ」ということで発見したのがこれである。一時はけっこう流暢にしゃべっていたスペイン語をなんとか取り戻したいと思っていた矢先のこと、さっそく「これでも見てみようか」ということになった。
とは言え、10年以上もまともに使っていないスペイン語だ。しかも、この言語を話す人はなぜかおしゃべり。また、このドラマもいちおうはコメディーなのでよくしゃべる。早口でまくしたてられるスペイン語にさっぱりついていけない。タイトルからして、「不細工なおねーさん」の話だろうということはわかる。
しかし、語学を習得しようと思えば、ここで簡単に「主音声」などに切り替えて日本語で観てしまっては意味がない。英語学習もそうだったが、筆者の場合、絶対に日本語では観ない(もちろん、基本的な言語の知識は必要)。わからないなら、わからないなりに、あくまでも外国語で理解しようとすること、これがモットーである。その代わり、あらゆる手段を使う。まず、ビジュアルを見ながら想像力を最大限に働かせ、どんなことが起こっているのか、だいたいどんなことを話しているのか、をつかむことから始める。次に、いまやインターネットを活用しない手はない。なにしろ途中から観始めたので、それ以前のストーリーもわからない。せっせと 検索しながら、だいたいのストーリーの流れをつかむ。また、YouTube などでそれまでのエピソードの抜粋がけっこう載せられているのでそこら辺もチェックしておく。
さて、主人公のベティことベアトリス・アウロラ・ピンソン・ソラノ (Beatriz Aurora Pinzón Solano) は醜い容姿のため、幼い頃からさんざん辛い思いをしてきた。しかし、頭脳はすこぶる優秀で大学も主席で卒業、しかし、その容姿のため、満足に就職もできない。履歴書を送った段階で、その写真を見て書類選考で落とされてしまうのだ。顔だけで選ぶとは、どんな国だ!(ちなみに、原産国は麻薬などで悪評高いコロンビア)と思わないではないが、実際、コロンビア (Columbia) に行ったことも(住んだことも)ないので、真偽のほどはわからないが。
確かに、不細工ではある(と言っても演じている女優はきれいだが)。ダサイ髪型に服装、しゃべり方や立ち居ふるまいも「どんくさい」という感じだ。しかも、「歯の矯正ブリッジ」をしており、これが「不細工さ」を演出するのにかなりの効果をあげているようだ。そして、このベティが初めて写真なしの履歴書を送って面接までこぎつけたのが、コロンビア最大手であるファッション系の会社エコ・モダ (Eco Moda) で、たまたま秘書として採用される。
で、そんな彼女が密かに想いを抱くようになるのが、上司であるアルマンド・メンドサ (Armando Mendoza)。しかし、彼にはすでに婚約者(これがまた嫉妬深く、意地悪なおねえさん)のマルセラ・バレンシア (Marcela Valencia) がいる。自分なんて相手にされるわけがないと思いながら、その頭脳と手腕を活かし、アルマンドを支え、片腕となっていくベティだが、実は、これはロマンス・コメディーなのである。そして、視聴者の楽しみは、この不細工ベティがある日、美しい女性に変身、そこから展開する新たなストーリー展開である。
このドラマは原産国コロンビアでは1999~2001年の間に放映され、ベティそっくりさん大会などのイベントも行われたりなど、現地でも人気が高い。
その後、世界でも反響を呼び、アメリカの「アグリー・ベティ」(Ugly Betty) をはじめ、ドイツ (Germany)、ロシア (Russia)、フィリピン (Philippines)、トルコ (Turkey)、ベトナム (Vietnam)… など十数カ国でリメイクされている。物語のテンポも遅いし、それほど新奇なストーリーでもないが、見ればなるほどおもしろい。
ちなみに、これがベティーである。
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