文句(もんく)ばっかり言っているのか、それともお坊さん (monk) が探偵に(?)ということではなく、ドラマの主人公である探偵の名前。
さて、「名探偵モンク」こと、エイドリアン・モンク (Adrian Monk) はサンフランシスコ警察 (San Francisco Police Department: SFPD) に所属する優秀な刑事だったが、ある日、愛する妻のトゥルーディ (Trudy) が自動車に仕掛けられた爆弾で殺されてからというもの、精神的に立ち直ることができず、自宅で3年以上も引き篭もり状態 (shut-in) を続けていた。
看護婦のシャロナ (Sharona) のおかげでやっと外に出られるようになり、今では彼女が助手という形で付き添いながら、SFPD の殺人課専属のコンサルタントとして社会復帰している。しかし、強迫性障害 (Obsessive-Compulsive Disorder: OCD) を持っているため、いろんな困難なことにぶち当たる。
と言うと、なんだか深刻で暗い物語のようにも思えるが、どうして、これがなかなかコミカルである。
彼の場合、強迫性障害が極度のきれい好き、整頓好きという形で現れている。したがって、
まず、人と握手ができない。
「はじめまして、○○です」と手を差し出す相手。
「ああっ… うう…」と困惑するモンク。
助手のシャロナに促されてやっと握手。即座にウェットティッシュで手を拭く。怪訝な顔の相手。
「いえ、あの、病気なんで…」
もちろん、家の中もきちんと片付いているのは当然のことで、置かれているものがゆがんでいても気になる。それが自分の家や持ち物ならいいが、そうもいかない。
たとえば、犯罪現場 (crime scene) でも、乱雑に置かれているものがあると、わかっちゃいるけど、つい…
「あ、モンク、頼むから触らないでくれよ、犯罪現場なんだからな」
はたまた、ふと見つけた「プチ・シート」。「ぷち、ぷち…」などと言わせながら現場検証。
「おい、行くぞ」
「あ、あの、ちょっと待って…」
このプチ・シート、つぶし始めたら最後までつぶさないと、く、苦しいんですっ… てなことで、そこは彼の事情をよく理解している警部、「しようがないなあ、おい、手伝ってやれ」なんてことに(?)。
しかし、こんな潔癖症が役に立つときもある。
たまたま犯人を目撃したモンク。「さっそく似顔絵を」ということになった。
「こんな感じですか?」
「う~ん、もっと大きくてふっくらしてて…」
「じゃ、こうですか?」
そして、かなりの時間が経過。
「そこはもうちょっとこうで… うん、そうそう」
「あのー、ところでモンクさん、まだ似顔絵、犯人の片耳しかできてないんですけど」
「だって、私は片耳しか覚えてないですよ」
「ええっ~?」
「いや、耳は顔と同じで、この世の中に誰一人、人と同じ耳を持っている人はいません」
ということで、見事、「耳」だけで犯人を逮捕するモンク。いや、さすがに名探偵である。
下記はドラマを紹介するトレイラービデオ(うっ… それはイカンだろ)。