ビクトリア~愛と復讐の嵐 (Olvidarte Jamas)

原題は Olvidarte Jamas (オルビダールテ ハマス)、ベネズエラのテレノベラ (telenovela:テレビ小説) である。

ここで、恒例のスペイン語解説をしておくと、olvidar (= forget)、-te (= you)、jamas (= never) ということで、意味は「決してあなたを忘れない」。なんとも情念たっぷりのタイトルであるが、さすがに日本語ではフィットしないということなのか、邦題はちょっとレトロな雰囲気だ。

そういえば、「ベティ」の邦題も「愛と裏切りの秘書室」で、やはり、ラテンのテレノベラはこのタッチを踏襲するということなのか、なんとなくしっくり来ているような気もする。

さて、ストーリーであるが、主人公ビクトリア (Victoria) がかつて自分に対してひどい仕打ちをしたモンテロ (Montero) 一家に復讐を果たそうとするが、恋人ディエゴ・イバラ (Diego Ibarra) との愛に目覚め、本当の幸せをつかもうとする… といった筋書き。

なるほど、「復讐」と言うだけあって内容はけっこうどろどろしている。

それにしても、このドラマには善人、いや少なくとも普通の人はいないのか―と思わせるほど、ゴロツキのような人間が多い。農場を経営するモンテロ家の財産をめぐって、いやしく交錯する人間の欲望とおろかさ。

「アイツがいなければ財産は自分のものだ。よし、アイツを亡き者にしよう」
「あの女さえいなければ彼はわたしのもの。そうだ、あの女を始末しよう」

なんてことで、思考回路が短絡的である。非常にシンプルだがツメも甘い。計画に緻密さがない。あまりにも大ざっぱで、やはり、ここら辺もラテン気質なのか(あまりステレオタイプな見方もよくないが)。

また、テンポの速いアメリカのドラマに慣れてしまうと、ちょっと気になるのがシーン展開の遅さである。

あるシーンで、「どういうことなんだ?説明してくれ」などというセリフで終わって別のシーンに移る。そして別のシーンで10分ほど経過した後にまた最初のシーンに戻るが、「頼むから、説明してくれ」というセリフからスタート。「あれ?まだそこか」、「まだ説明してもらってないのか」なんてことになり、時間が行きつ戻りつしている。せっかちなタイプには、思わず「早く言ってくれ、時間がなくなる」と言いたくなるが、まあ、これはこれでひとつの表現法ということで。

しかし、はやり、ラテンは熱い。情熱的である。

恋人が撃たれた。大変なのはわかる。しかし、そんなに大変な箇所を撃たれてもなさそうだし、血もそんなに出ていない。落ち着こう、脈を取ってみよう… などと視聴者は思うのだが、恋人を抱きしめ、ひたすら「死なないでくれ!」と泣き叫ぶばかりの男。泣き叫ぶ前に救急車を呼べ!と思ってしまうのだ。とは言え、気が転倒しておろおろしてしまうというのがより現実に近いかもしれないが。

ということで、下記は、ドラマの主題歌を熱唱するメキシコの歌手・俳優であるパブロ・モンテロ (Pablo Montero) さんのビデオ。

https://www.youtube.com/watch?v=lwAQhgqJTmg

そして、ドラマを紹介したトレイラービデオ(スペイン語)。

https://www.youtube.com/watch?v=qO8yxLvXRks